第一回:今、好奇心がなぜ大事なのか?
好奇心格差の発生
第二回:そもそも好奇心とは?
3つの類型とその発達
第三回:好奇心にまつわる誤解
好奇心駆動型教育の蹉跌
第四回:好奇心の育み方
大人との関わりと知識の重要性
第四回:好奇心の育み方
◆子どもは40000回質問する
心理学者のシェイナードは子どもが親しい大人と過ごす時間を200時間以上観察しその行動を記録しました。彼の記録によると一時間はあたり平均して100回以上の問いかけをしていていました。注意をひく意図の問いかけもありましたがおおよそ2/3ほどが名前などの「情報」を引き出すものでした。
そして、3歳程度に成長すると「どうやって」「なぜ」といった「説明」を引き出す問いかけも増えてきました。(「説明」を引き出す質問は一時間あたり25回ほど)
シェイナードは3-5歳の間に「説明を求める」質問する回数を40000回と推定しています。これがこの本の邦訳のもととなっています。
しかし、一方で成長するにしたがって個人によって好奇心の大小が分かれてきます。それはどのような要因によってそうなるのでしょうか。
◆ちょっと知っていることの重要性
一般的に好奇心は何も知らないことに対する沸き起こる情動だというイメージがあるかと思います。しかし、実際に人は背景知識など全く知らないことには興味を持たないものです。
また、自分がすべてを知っていると過信していることにも好奇心はわきにくくできています。
なので「ちょっと知っている」という知識の量、そして自信が重要となってきます。恐怖は好奇心を押し殺します。肉体的・精神的に不安定な環境は、周りの環境の安全の確認に認知資源を使う必要があるため好奇心に負の影響を与えます。
※知識のマタイ効果
より富める者がより富むというのを聖書の言葉になぞらえマタイ効果といいます。好奇心と知識の関係から知識を持っている人はより知識を収集するという構造が生まれます。これを知識のマタイ効果、収集効果といったりします。
◆親からの質問
アメリカなどの様々な社会学的な調査で、高所得層の家庭の子どもは低所得層の家庭の子どもより多くの質問するということが分かっています。さらに、要因の調査をしたところ、たくさん母親から質問される子どもは、より多くの質問をする傾向にあるということも分かりました。つまり質問するという行為は相手に伝染するのです。
◆最後にび場での実践を通じて感じたこと
び場ではゆくゆくは「よい問いづくり」をしたいので子どもの好奇心を観察しています。観察していて感じるのは、本にあるように、
・知識がある子ほど好奇心が強い
・言語能力の発達が早い子ほど適切な質問によって知りたいことを知れるという経験があるため好奇心が強い
・「知らないことがある」=「恥ずかしいこと」という価値観がありそうな子は好奇心を発揮しにくい(知ったかぶりや過信する傾向)
び場でゆくゆくは「よい問いづくり」ができるような活動をしていきたいと考えています。そのために1学期や夏休みに「問いづくり」などをしてみましたが、一年生の時点では知識の量や言語能力の発達のタイミングに差がありなかなか難しいというのが率直な感想でした。
この本を再読して、質問の技術など冬休みなどで子どもたちのためにできることを考えたいと思いました。
それと個人的には共感的好奇心がこれからの時代は重要になってくると考えています。これについては対話やワークショップなどを3年生の夏休みからやっていきたいと考えています。
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