び場の放課後
学び
子どもたちに挑戦と成長のチャンスを
び場では「学び」のカリキュラムだけでなく、「どんな環境・プロセス・社会的関係で学ぶのか=コミュニティ」を重視しています。大人がリード・サポートしながら、ちょっとだけ難しい新しいことにチャレンジする。そんな挑戦の時間が「学び」となり、子どもたちの成長の土台をつくります。
振り返りジャーナル
対象時期:1年生の1月から
び場では「振り返る力」を重要視しています。「振り返る力」とは、一言でいうと「経験を学びに力に変える力」です。子どもたちが学校生活や私生活で得るさまざまな経験を「学び」に変えるためのカリキュラムです。
⬛「振り返り」の主要な3つのステップ
1.What?:何が起こったかを思い出す
2.so what?:どのような意味があったのか? 何が良くて何が悪かったのか?
3.Now what?:これからどうするのか?
このステップに必要なのは
①自分を俯瞰してみるメタ認知能力
②自分の気持ちを探り言語化する力
です。
び場では、ファシリテーターやコーチングの経験を活かした「問い」を子どもたちに1日1題投げかけます。子どもたちは、自分の言葉で「振り返りシート」を記入して「振り返る力」を伸ばします。
※ 問いの例
「最近、腹が立ったことは? どうして?」
「悲しいことがあったらどうする?」
「最近、成長したと思うことは?」
「得意なことと苦手なこと、どっちを頑張りたい? それはどうして?」
「び場がもっと素敵な場所になるためには?」
「自分を漢字一文字で表すと?」
不思議ノート
対象時期:1年生の1学期
び場で大切にしている「問いを立てる力」。そのベースにあるのは「不思議」を見つける洞察力や、違和感や疑問を自分の中にとどめる力です。
「不思議ノート」には、子どもたちが「不思議」だと思ったことを1日1個ずつノートに書いてもらいます。「重力とは?」「宇宙の果てはどうなっているの?」といった科学的な不思議もあれば、「風と風邪はどうして同じ発音なの?」といった言葉に関するものなど、さまざまな関心が見えてきます。
そして、何より「不思議」のなかには、子どもたちのさまざまな見えないメッセージが潜んでいます。
一週間の振り返り対話
対象時期:●年生の●学期
振り返りの習慣化のために毎週金曜に
子どもたちの1週間の振り返りを兼ねた1対1の対話の時間を設けています。
様々な知育プリント
対象時期:●年生の●学期
月に1回お渡しする「積み木のにっしん」の知育プリントは、考える力を伸ばす素晴らしいプリントです。
まずは子どもたちの様子を見て「週に●枚」と目標を示します。それを受けて、子どもたちは今日はどのプリントをやるか、または今日はやらない代わりに明日2枚やるかといった計画を考え、自分で決めます。
また、希望制で半年に一度、全学年共通のテストを受けて自分の力試しできる機会も設けています。
英語のレッスン
対象時期:●年生の●学期
英語のレッスンはカナダ人のMicaela先生とIra先生が担当します。Micaela先生は高校生の頃に日本在住経験があり、Ira先生はインドで学校の先生として勤務していました。
カリキュラムをつくる視点は次の2点です。
・単なる「英語で話す力」を超えて、いかにして「コミュニケーション力」を育むか?
・どのようにして自分たちの知らない世界に対する関心や好奇心を育むか?
また、レッスンの後、対象者は「振り返りノート」を記入します。
※振り返りの例
・英語を学んで何をしたいか?
・今日学んだことはどんな場面で役に立ちそうか?
・英語で最近頑張っていることは?
POINTS OF YOU®
対象時期:●年生の●学期
子どもたちと対話するときは POINTS OF YOU® を使うこともあります。POINTS OF YOU®は、カードを用いたイスラエル発のコーチングメソッドです。「感じる→考える→伝える」ことを重視するイスラエルの伝統的な対話型学習方法である「ハブルータ」から着想を得たツールで、Googleやインテル、イケアなどのグローバル企業の研修にも導入されています。
この手法に出会ったきっかけは、新しい教育のロールモデルとしてイスラエルの教育を調査していたときにネットでイスラエルのコーチング手法として出会いました。 POINTS OF YOU® は”感じる→考える→伝える”ことを重視するイスラエルの伝統的な対話型学習方法であるハブルータから着想を得ています。そのとき日本の学びの型は、”覚える(疑わない)→練習する→再現する”という日本の教育スタイルとの違いが面白く「感じる力」を高めるのに良さそうだと思い、資格を取りました。
〜非日常編〜
〇SDGsに関するゲーム
対象時期:●年生の●学期
SDGsには17の目標があるのですが、今回は①貧困、②飢餓、③健康、④教育問題、⑤安全な水、⑥エネルギー、⑦海の安全、⑧平和について簡単な解説をします。
解説したあと後は、子ども達に政府を作ってもらい、今起きている社会を説明してそれぞれどんな問題があるか、どんなことに困っているかということを付箋、ポストイットに書いてもらいます。
〜非日常編〜
〇アートレッスン
対象時期:●年生の●学期
Aurelia先生とはレッスンのコンセプトを話し合う際に「感じる→考える→伝える」というプロセスをしっかり体験できる時間や場を創ろうということで準備をしました。正解のない絵や想定外のことを楽しんだり、違った見方をすることで楽しめるものにしたいと考え準備しています。
活動1:"Strange Person"
A4の紙を縦に四等分します。上から頭、胸部、腰、足と分けてまず「変な人の顔」をそれぞれ書いてもらいます。それから首を上から2番目の箇所に少しだけ書いて、自分が書いたものを折って隠して次の人に渡します。それから順番順番に書いていって最後に全体像をみます。
活動2:”Test de Rochnach"
いわゆるロールシャッハのようにA3の紙を一度折り曲げて片側に直接絵具を置いて折り曲げて、こすります。それから広げて、どんどん同じようなものを繰り返し、作品にタイトルをつけます。
活動3:"Extend the image"
写真の一部を切り取ったものを用意して子どもたちに渡し、それを自分で位置を決めて貼るB5の画用紙に貼る。残りの空白を自分で想像し、創造したものを色鉛筆で書いていく作業です。
活動4: "Self-portrait"
撮った写真を切り取りA3の紙に貼って残りを好きなように描いていく作業です。
活動5:Mr. Been Collage
コラージュに挑戦します。Mr.Beanの顔写真で左目と鼻と口と右耳を空欄にして雑誌などから切って貼り付けてもらう作業です。
〜非日常編〜
〇県立美術館開催のワークショップ
対象時期:●年生の●学期
<ワークショップの流れ>
1.ワークショップの流れの説明を聞く
2.小グループに分かれる(学芸員志望のお兄さん/お姉さんが引率)
3.展示品の中で好きな作品を探し1つ選ぶ
4.選んだ作品についてお兄さん達と対話をしながらキーワードを出していく
5.キーワードをもとに感想を絵に描く
6.最後に好きな作品の前で自分の描いた絵をみんなに発表する
〜非日常編〜
〇子ども哲学対話
対象時期:●年生の●学期
哲学者でもあり、教育者でもるマシュー・リップマンが1970年代に始めた運動で、現在日本でも様々な教育機関、小学校や保育園でも取り組み事例が増えてきています。
◆なぜ、今、子ども哲学対話なのか?
なぜ今回子ども哲学対話に取り組もうかというと、一言でいうとび場のビジョンを実現するためです。び場立ち上げ時から①振り返る力、②対話する力、③問いを立てる力を重視してきており、子ども哲学対話は①~③をまんべんなく伸ばせそうという予感がするからです。では子ども哲学対話がどういう経緯で何を目指す取り組みなのかを解説します。
①もともと子ども哲学対話が目指しているもの
(A)価値・意味を見出す・獲得する力を伸ばす
以前、Learn Betterという本を解説した時にも述べましたが、学びは「価値や意味を見出す」ことからスタートします。
(B)思考スキル・対話スキルの成長の輪を回す
子ども哲学対話では、子ども達の学びの根源的スキルとして推論能力、つまり考える力の向上にフォーカスを当てています。そして、認知心理科学や社会心理科学(ヴィゴツキーなど)が発見した考える力は他者との対話が内面化することで向上するという事実から、この哲学対話というスタイルがうまれました。