参考情報:ドラマ教育の系譜①

先週はドラマ教育について概要を解説してみました。
https://www.biba-labo.com/theory/20181014/

ドラマ教育は様々な国の文化や社会背景、そして課題意識をもとに発展してきました。表面的な手法を紹介する前に、今週は大きな潮流を成す系譜の1つを紹介していきたいと思います。

ちなみに、今、び場に来ている先生はラトビア出身で、ロシアの系譜なので、いわゆるドラマ教育の今度、特徴・理論的なところも聞いてみようと思います。ロシアもロマノフ王朝から莫大な芸術資産を持っていますね。

◆Creative Dramatics
1.背景(成り立ち)
創始者はアメリカで「クリエイティブ・ドラマの母」と呼ばれるウィニフレッド・ウォード(1884~1975)。彼女がこの教育を始めた背景には、詰め込み教育を批判し、子どもの自発性、個性を尊重する新教育運動があります。
(教育に関する改革は何度も起こっているんですね)

そんな背景にあるので初期のクリエイティブドラマでは「全人的教育」を強調していましたが、後年、「想像的創造力」に力点を移していきました。

2.目的及び学習内容
マス教育から個人に着目した教育へとシフトしていく中で、従来の学校で行われた演劇教育が少数の「演劇的才能」をもった少数の子どもたちと、その親たちのものになっていました。
それに対し、ウォードは子どもたちが即興的にごっこ遊びからドラマ活動をする過程に教育的価値を発見しました。

そんなウォードが掲げた5つの教育目標とは、
①コントロールされた感情表現を育むこと
②芸術の中で自己表現の道筋・型を与えること
③子どもの想像的創造力を育み導くこと
④子どもの社会性と協調性を培う場を提供すること
⑤子どもたちに自己理解の機会を与え、恐れず自分を表現する経験を提供すること
となっています。

またクリエイティブドラマを支える彼女の信念としては
・子どもの将来のために準備していることではなく。今現在をより豊かに生きるための機会である。また、それが結果的に将来にとって最良のことである
・子どもたちが自分たちで選択したり創案したり、機械を与えなければならない
・子どもたちが自信をもてるようにしなければならない
・態度と審美眼が技能よりも価値づけられないといけない
将来よりも今現在を豊かに生きるというのはマインドフルネス的な考え方で、技能よりも審美眼を強調するのもリーダーに求められる資質の昨今の変化に重なっているような気がします。

3.手法の特徴
クリエイティブ・ドラマの特徴はとにかく「楽しい」ことに力点を置いていることです。そんなクリエイティブ・ドラマの4つの特徴として、
①考えをイメージとして表現する機会がある
②脚本を覚える必要はなく、セリフやアクションを即興的に創りだせる
③独創性を発揮する機会がある
④見るよりも参加するほうが楽しい

またその他の手法などの特徴は
◎系統性のある石積み型のアプローチ
ドラマ・リーダー(いわゆる教師)はパントマイムなどの非言語的の身体的表現から始め、「人物づくり」や「せりふづくり」といった言語活動を伴う複雑な活動につなげていきます。その後、「即興的な劇づくり」へと発展させていきます。
この流れは一学期という長期にわたる期間でも行われますし、それぞれの1回ごとのレッスンでも行われます。

◎ストリーテーリングから劇へ
ウォード自身が優れたストーリーテラーだったこともあり、クリエイティブドラマの「真髄は物語の劇化である」という考え方は一貫していました。
様々な文学的な物語をベースに劇へと移っていくことに特徴があります。

◎教師の役割
教師はクリエイティブ・ドラマ・リーダーと呼ばれます。リーダーの役割はあくまで案内人であり、あれこれ指示をしたり、登場人物について解説するよりも、子どもたちのやりたいことを認め、子どもたちが楽しく感じ、子どもたちが自分自身でやったという達成感を得ることを重視しています。

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